『SKULL DOT』は松本零士氏のドクロを主題としたデザインをファッションアイテムに展開した「松本零士ロマンチックコレクション」と呼ばれる公認グッズシリーズの一つとして存在しています。
「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」「キャプテンハーロック」等、世界に誇るアニメーションの原作漫画家である松本零士氏。
その作品群に見られる象徴的なアイコンともいえるのが「ドクロ」で、ご自身のトレードマークにもなっています。
「優しさのあるドクロ」という言葉が印象的に語られる「ドクロのルーツについてのインタビュー」をぜひ、ご一読ください。
松本零士(以下:松)・インタビュアー(以下:I)
I:ドクロに関してのルーツを教えてください。
松:ドクロのマークというとねえ、気持ちが悪いとかなんか、死者を連想するとかいろいろ言う人はいますけどねえ、ゲルマン神話でもそうですし、XXXでもそうですし、それから各国の例でもそうですし、要するに逆に不老不死、「不滅の騎士」という意味なんですよ。
だから海賊が旗を掲げていると言うのは、人を威嚇する為じゃあなくて、孤独でしょ?どこで倒れても悔いはない、という、俺の旗のもとにという、それと、骨となっても自分は戦うという、そういう意味が強烈にこのドクロマークにはあるわけです。
だから生涯自分の信念を貫くぞ、という意味が強烈にこのマーキングにはあるわけです。
ですから18世紀、19世紀、17世紀あたりからの商品の中にも、はっきりとドクロをあしらったものがあるんですよ。銀で出来た時計とか、ドクロのものが多いんですよ。
ブレスレットとか、非常に多いんですよ。ほとんど残っておりませんけどね。
I:古くから人間が考えてきた思いが、思い入れがずっと、このマークにはあるんですね。今回の商品にも、そんな思いを感じていただけると思いが伝わりますね。
松:骨となっても俺は戦うぞ、という生涯、信念を曲げない、という意味が込められているんです。だから普通ねえ、ドクロの旗というと人を脅かすような雰囲気でしょ。私も海賊映画が大好きでね、最初の頃はそう思っていたんですが、途中で気がついたんですよ。
それは、あのう、いろんな本を読んだり、、、その中に「骨となっても俺は戦う」という言葉がでてきて、それから不滅の騎士団、騎士のマーキングですね、ジークフリードにもね、そういうマーキングが繋がっていくわけです。
ですから、遠く、遠く伝説的に発生した文言なんですね。そういう歴史がこのドクロマークにはあるんですね。それだけに誤解されるような事故がありましたけどね、
そうではなく、信念のマークとして感じていただきたい。
実際は、不滅の騎士、自分の信念の表明なんですね。
生涯現役!しかも、骨となっても俺は戦う!私がここに赤いのをつけているのもね、生きたドクロだって言って、血の通ったドクロだって冗談で赤くしてるって言うんですよ。
I:今回タグにもドクロが付きます。(キーホルダー以外の商品に付きます)
松:それは生きたドクロですね。血の通ったドクロ。
I:S.SHOBEYとのコラボについてお願い致します。
松:こうしたものを作るのは、精密度が必要になりますね、仕上げのですね。そこはやっぱりそれは職人さんの腕前にかかってくるし、それからね、あまりこう露骨に表現するよりも、いくらか控えめにこうやっていた方がどこへ着て行っても、どこへ着けていっても違和感がないわけですね。控えめなものであるから、どういうところにでも身に着けていけるというのがいいと思いますね。
派手なパーティなんかには大きなドクロが付いたものもよいけれど、その時の場所に応じた使い分けをして、楽しんでいただくのがいいんじゃないですかね。
昔からドクロを主題にした装飾物はたくさんありますよ。ただ、実物大に近いねドクロの置物兼ペンタテですね、それと時計が付いているんです、置いていたら不気味でした。ですから、ドクロを扱う場合はある程度の適度な大きさが必要なんです。
あの、平面に書くのは別ですよ。ドクロの旗印でも何でも。立体物の場合はね。
全部を骨の骨格の製品もありますよ。銀で作ってますね、たいていのものは。金で作られた物はないですね。古来、ドクロを扱った商品は全部銀ですね。今も、それは続いているんですね。しかも、それはヨーロッパだけじゃあなくてね、世界中にあるんですよ。あるんです。
ドクロを素材にした、そういった装飾品、グッズですね。ですから共通の思いがあるんです。世界中にね。不滅の、ということにですね。
I:大人の遊び心について何かありますか?
松:あのやっぱり、遊び心じゃあないですけどね、身に着けててね、ある意味でのロマンチックさ、情緒感がないと面白くないですね。鋭角的なだけではね。
だからそれが一番大事な部分ですね。 これは外地へ出た場合とか、いろいろかぶりますよ。若いときはね、黒いハンチングをかぶっていたんですよ。ベレー帽のかわりにね。20代の頃はね。
ある意味でね、ドクロのマーキングと言うのは、私が本当の意味で最初に書いたのは中学2年3年にかけて「冒険記」と言うのを描いたときにドクロのマークをかいたんです。そのときは黒いドクロですね。その旗印も描いたのが最初なんです。
そこから始まっているわけです。それ以来、このマークは変わらないわけです。
それから、ドクロを描くときのむずかしさって言うのはですね、見てて嫌な感じのするドクロじゃあ具合が悪いですね。あのお、表情、表情が穏やかでね、そういう意味で優しさのあるドクロでないと面白くないですね、マーキングとしても。恐くすると、恐くなりますからね、そこが微妙なとこですね。
I: これからの作品のなかでも、このドクロの活躍する場所はありますか?
松:これはもうやたらと、いたるところで出てくるんですよ。これからもずっとでてきますよ。自分の頭につけているくらいですから。本当は自動車みたいに走りたいんですけど。家一軒これで作ったら面白いんだろうなと思うんですけど、そしたらね、不気味で人は逃げてしまうだろうから、怒られそうで。これは使い方次第ですね、ドクロのマーキングっていうのは、場所とその雰囲気を考えないといけない。だから不用意に描くものではない、というのは分かっているんですよ。時と場所を選んで使わなきゃいけない。
I:(松本零士先生は骨董品、装飾品も集めていて、ドクロに関しての造詣が深いことが判明。色々なドクロがあることを全て理解した上でご自分のオリジナルに昇華しているということが分かり、このマークの深さを感じました)
松:ヨーロッパの銀のドクロの製品なんか、ブレスレットやネックレスがありますけど、そのネックレスの紐の部分が、これがまた骨なんです。それで口をあけると時計になっているんです。しかし、そのドクロの表情がね、穏やかなものなんです。近年、レプリカが一度出ましたけどね、雰囲気が違うんですね。ただ、ドクロを嫌う人々もいるんでね、使い方は注意が必要です。
海賊のドクロと言うのは意味があるんですね。意味がハッキリあります。
それはあのう、卍巴にもあるし、全てマーキングには全部意味がありますよね。卍巴は、無限大の中心という意味ですね。古代ラマ教のですね。だからお寺のマークが卍巴になっていると言うのは、不死という。ですからあのう人類が古くから使っているマークには、全て思いがあります。思いがかかっているんですね。
いつ頃最初に誰が書いたか知りませんけどね、そうとう古いはずですよ、最初にこのドクロマークを使ったというのは。海賊は旗を翻して常に走っていたでしょう。そういう意味ではキャラクターマークの走りかもしれないですね。
でもね、逆の意味でかっこいいのもあったんですよ。ユル・ブリンナーの映画でね、失意の海賊が再起するわけですよ。で、出航だ!という時にね、「キャプテン、旗を揚げますか!」と言ったら、「俺には旗は無い!」と言ってね、旗を揚げずに行くんですよ。これもカッコいいんですよね。その、逆転を取っているわけですよね。
そういう映画が好きだったものですからね、つい、ドクロを描いてしまうんです。めったやたらと中学生の時に描いているんですよ。
やっぱり、海賊になりたかったんですよね。あの時代の海賊になりたかったんですね。自由の海を自由に走る。誰の拘束も受けないわけです。しかし、似たようなことですね。自由業と言うのはね。(笑)
松:最初のドクロの旗の冒険記「キャプテンキングストン」というのを書いたのは中学3年ですから、14で描いて15で完成させたんですね。で、本に綴じて。その時はまだハーロックという名前ではなくて、キャプテンキングストン、いざと言うときはキングストンを自分で抜いて沈めるわけですね。それはもう、胸にもうドクロを書いて、ハーロックと同じなんです。ドクロを描いてるんです。
I:ドクロと先生のお付き合いは、半世紀にもわたるんですね。
松:もう、もう、だから10代から始まっているわけですよ。中学生の時から。いかに海賊映画マニアだったかが分かるでしょ。海賊映画はほとんど全部見てますよ。
また格好良かったんです、あのちびの時に見たね、子供のときの見たあの白黒の時代の海賊映画はね、やたらと格好良かったんですよ。それと不思議なことにね、海賊映画で海賊のことを悪く描いた映画はひとつも無いんです。
あれはねえ、自由へのあこがれがあったんだと思う。あのう、ドクロの旗印にはね。
誰もあのうドクロの旗印を上げて走っている海賊を悪者だとは思っていないわけですよね、不思議なことですよね。だから、ある意味での情緒的な人の思いがかかっているんですね。
I:(このあとナスカ高原で出会ったドクロのミイラと記念写真を撮って返った話や、本物のドクロとのエピソードなど、実に楽しそうにその話を語ってくださいました。)
出典元:「スカルドット」ファーストエディション製作時のインタビューより
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